誰とも話さず、
涙も流さず、
ただ座ったままの僕に
『坊や』と呼ぶのは、
ただ一人。
近所のたけのこおじさんだ。
おじさんは、
たけのこが好きでいつもわけてくれる。
「ほら、お前にやるよ」
僕は少し苦手だ。
だけど、
このときだけは平気だった。