夕暮れに染まるまで

「ちっちゃい頃みたい」

 ふふ、と照れくさそうな透花の声が、胸にじんわりと温かさを広げていく。

「ああ……ほんとだな」

 それから俺達は手を繋いだまま、昔の話をしていた。

 幼稚園の頃結婚しようねと言っていたこと。

 公園で転んだ透花をおぶって帰った日のこと。

 小学校での遠足。クリスマス、運動会、卒業式……

 どれも思い出にしてしまうには早すぎる。

 それでも俺達は一緒にいた時間を一つ一つ辿るように思い返していた。

 もうすぐ誰もいなくなってしまうこの世界に、自分達が存在していたことを確かめ合うように。

 吸い込む息はだんだんと浅く、体も重くなっていったけれど、俺達は手を離すことなくいつまでもしゃべり続けていたのだった。