夕暮れに染まるまで

 まだ新緑の眩しい五月、それはけたたましいサイレンと共に終わりを告げた。

「夕輝! 夕輝!」

 悲鳴のような声に辺りを見回すと、押し寄せる人の波にもまれて透花がこちらに走ってきていた。

 伸ばされた腕を掴んで傍に引き寄せる。

 そのまま胸に飛び込んできた透花は縋る様に俺を見上げた。

「ねえ、何が起こってるの? 皆は……」

「立ち止まらないでください! 奥に詰めて!」

 聞こえてきた叫びに俺は口を噤むと、震える透花の肩を支えて人ごみの中を進む。

 押されるまま薄暗い道を通ってやっと広い場所に出た瞬間、背後にガチャンと扉の閉まる重々しい音が響き渡った。