ちょうど風呂から上がって来たおばあさんは、
俺たちの最悪なムードを素早く察知して華に言った。


「華ちゃん、お風呂上がりはあっついねえ。
先生と一緒に冷たいもの買っておいで」

と、泣いている華の片手に千円札を握らせて、
俺と華の背中を押して家から出した。


玄関の前で泣いている華の細い手首を掴んで、俺は歩き出した。