そんなこと言ってる場合じゃなーい!!

私が昨日犯した失態は忘れたくても忘れられない。

この平和で平々凡々な日々を壊されてしまうのだけはどうにかして阻止しなければ。

あーーーどうする?

一人のところを呼び出して、脅すか?

土下座して秘密にしてもらう?

あーーーーー

「「「キャーッ!」」」

「魔女いる?」

悲鳴のような歓声とともに聞こえてきた私のあだ名を呼ぶ男の声。

「王子ー!」

あぁ、私の平凡ライフ。

あぁ、愛しの高校生活。

どうか、気づかな「あ、魔女いた。来て。」

サラバ、私の平穏。

サラッと教室に入ってきたかと思えば、私の手をつかみグイグイとどこかに引っ張っていく王子こと結城紘。

周りの歓声が悲鳴に変わり、嫉妬付のあっつい視線を全方位から向けられているのを、ひしひしと感じる。

そんな時タイミングよくなったチャイム。

私たちが気になり、後ろ髪引きながらも戻っていく生徒たち。

成績が上位5人に入っていない者が授業をサボると、先生から雷が落とされ、大量の課題が課せられるためだ。

成績はテストごとに上位10人のみ張り出され、みんなに認知される存在。

だから、結城が1位だってことも私は知っている。

そして、私の名前を知っていれば私が2位だと言うこともしっているはず。

これは、チャイムを見越した確信犯ってわけだ。

「ねぇ、どこに連れて行くわけ。」

「黙って。」

おい、昨日と全然キャラ違うんですけど。

噂の無口な完璧王子キャラは本当だったのか!