『魔女ちゃんの魔法が羨ましすぎて、本性が出てしまったぁ!
実はおしゃべりで子供じみているバカなんです☆なんて知られたらドン引きだよね。
どうする!?
さっきまでのは嘘です、忘れてください。なんて真顔でいつもみたいにクールぶってこの場から逃げるか?あぁぁぁー。』

「ぷっハハハ!もう我慢できない。君面白すぎ。
実はおしゃべりで子供じみたバカなんだ!ククッ」

あ、なに言っちゃってんのあたしーっ!

だってね?今まで私を見た人で、この見た目について嫌悪を抱かなかった人なんて皆無だったんだよ?

両親でさえ、嫌な顔するし、心の中でもなんでこんな子に育ったんだみたいなことばっかりだったし。

それなのにこの人ったらさ…


ホントバカ。

「何々!君も僕と一緒なの!?本性隠してるの?
だから分かるの?え、どゆこと!やっぱ魔法?エスパー?
あーぼくどうすればいい!?」

さっき心の中で呟いていたことを指摘されたのが相当堪えたらしく、完璧王子の面影が無くなるほど、一人で慌てふためいてる。

「エスパーね。そういうことにしとけば?
あ。安心して。君の本性誰にも言わないし。てか言う人いないから。
じゃあ。気を付けて帰りなよ。それと、お金は知らない人に貸すもんじゃないよ。」

と言い、電柱に隠しといた買い物袋を取ると一目散にその場を逃げ去った。


わ、私としたことが!ペラペラとしゃべってしまった…。

なんで心の声に返事しちゃったんだ?

私もつられてバカになってしまったのか?

しかも学園の王子に知られてしまなんて。

口止めするべきだったか?

いや、こっちも王子の重大な秘密を握ってるんだ。

だ、大丈夫だ私。

という感じを何度繰り返したことか。

帰っても不安が頭から消えず、焼いた卵は焦がすし、シャワーは冷水のまま出しちゃうし。