高校でも、私と同じ中学出身の人がいて、いつの間にか魔女の噂が広まり、誰も近づかなくなった。

高校ではレベルアップした魔女の格好で通った。

黒パーカーのフードを深くかぶり、黒マスクをつけ始めたのだ。

勿論、制服のセーラー服のスカートはひざ下、顎まである前髪はたらしっぱなし。

後ろの髪はおさげに。



小中高ずっと前髪で顔を隠し続けてきたのには、理由がある。

親にも言えない小さい頃からの秘密が。

それは、人の心が読めること。

目があった人の心の声が流れてきてしまうのだ。

そのせいで、知りたくないこともたくさん知ってしまったし、人間の腹の中は誰でも真っ黒だと、嘘の塊だと言うことを嫌というほど身に染みた。


5歳の頃、大好きだった幼稚園の先生に思い切って話したことがあった。

その時の先生の心の声は今でも覚えている。

表では「すごいね!」なんて言ってくれたけど、心では「気持ち悪いわね」
と言っていた。

それが理由。

幼い私の心を閉ざすには十分な出来事だった。