「僕、リリちゃんに毎日会いたい。
もういっそのこと、素で生活していこうかなー。」

今まで頑なにキャラを守ってきた紘が、昨日会ったリリのために、素に戻そうと言っている。

「俺もー。リリを可愛くして女避けにしたい。
…リリと友達になってやりたいし。」

遼も素に戻そうとしている。
ツンデレまで発動させて。

「俺もリリちゃんとは仲良くなりたいけど、女の嫉妬は侮れない。
ましてや、魔女なんて言われてる見た目は地味な女の子。
女の子たちの格好の餌になるね。」

晴翔だけは冷静に先を見据えていた。

何を隠そう、3人は桜御三家。

この学校の王子様であり、アイドルなのだ。

聞くところによると、1人占め禁止、抜け駆け禁止という暗黙のルールが存在するという。

リリがどれだけ可愛かろうが、3人のファンにとっては敵。

攻撃の対象になるだけ。

「リリの顔見ればみんなそんなこと思わないよ。
それに、俺たち3人で守ればいいじゃん?」

「そうだよ。
あの可愛さだったら男がうるさくなりそうだけど、女は黙るだろ。」

「紘、遼。
まず、リリがどうやったら人の心の声をシャットアウトするか考えないと素顔は晒してくれない。

それに、女の子の嫉妬は可愛いとか可愛くないの次元じゃない。
俺たちに近づくもの全て、ファンが認めた女の子じゃ無い限りいじめられるはずだよ?

いいの?俺たちのせいでリリちゃんがいじめられても。
ダメでしょ?

だから、今は不用意に近づかない方がいい。
リリちゃんのためも。」

「でも!リリちゃんの能力教えてほしいし、会いたいのはどうすればいい!?
僕辛くてキャラ崩壊する!
変装して隅から覗く?
後をつける?
いっそのこと、屋上に4人でとじこもる?」

紘の口からは次から次へと言葉が出てくる出てくる。

「紘。落ち着け。
それじゃストーカーだ。」

それを晴翔が止める。

「でも、じっとはしてらんない。」

むすっとしている遼。

「何も会えないとは言ってないじゃん。
”不用意に”近づくなって言っただけ。

ちゃんと考えがあるんだ。
それは・・・」

「賛成!!
リリちゃんに会えるなら僕何でもできる!」

「さすが晴翔だな。」

「じゃあそういうことで。」

3人は顔を見合わせると不敵な笑みを浮かべた。


桜御三家SIDE END