「いやー、ホントだったんだね。びっくりだよ。」

「ぼ、僕は甘い物が好きなんだし!」

「別に猫かぶらなくていいですよ。
一人称は素じゃ俺でしょう?
それに女の子も苦手。可愛いものも。」

淡々とさっき読み取ったことを述べる。

前とすれ違った時、聞こえてしまったことも含まれるんだけど。

それを聞いた朝比奈遼は顔を一瞬歪めた。

「お前に隠し事は通用しないってわけか。
ふっ、たいそうな能力をお持ちで。」

素はこれか。

すんごいムカつく言い方だけど、これが当たり前だ。

「その方が似合います。自然で。
では、私はこれで。
あ、朝比奈遼の本性もバレる心配は無用です。
では失礼。」

次は引き止められることは無く、「またねー」と見送られた。

”また”なんてことはありえないのに。