【短編】甘酸っぱいコイゴト


強い力で掴むこの手は

優しくて

痛みなんか感じない…



「俺らは別れたたんだ」


……………っ、

優弥は呟くように私に言う


そんなこと分かってる

私がフッたんだから…



『今更そんな分かりきったこと言わないで。…用がないなら私行くから。』


「………」


『じゃぁ……』


私は優弥に背を向け、前へと進む

力のない足はあまりにも
不安定なものだった…


振り返らない…

もう、

優弥の顔なんて…


溢れでる涙が

視界をぼやかす


声を出さないよう歯を食いしばり、ひどく歪んだ顔をしている私


早くこの場から逃げたい…

そう思うと歩くスピードが速くなる…


変に、焦ってしまう



優弥

優弥……



『……ゴメンね。』


私は今にも消えそうな声で

涙とともに流れた言葉を

口にした……


ゴメン…



私は最後に優弥の方を振り返った…


すると微かに聞こえた足音とともに―








――えっ…………っ、