プシュー

コンビニで買った缶ビールを開けるのは、一人ぼっちの部屋。

単身赴任のお父さんの気持がよく分かる。


ヤダな。
なんかよけいに哀しくなっちゃう。

静かすぎる部屋が嫌で、テレビを付けた。

新聞を眺めながら考える。
えっ、と今日は金曜日……あ、Mステ見よ。
キャー、今日ミスチル出るじゃん!
ラッキー。

チャンネルを押しながら、ビールを飲む。

ゴキュゴキュ、と喉がなって、ほのかな苦味が通り抜けていく。

ハァ―――。

なんか、染みるなぁ。
いろんな、意味で。

ビールはおいしいけれど、人恋しくてたまらない。

ほら例えば、この苦さを分けあう誰かを求めてしまったり、ね。


テレビの中では、桜井さんが熱唱してる。
お馴染のラブソング。


¨何度聞いてもいい歌¨なんて思ってたけど、今日はいつも以上に聴きいってしまう。

寂しさをごまかすためにテレビをつけたはずなのに、よけいに悲しくなって、泣きたいくらい。

ちくちくちく。

痛みは、増えるばかり。

感情移入、しすぎかなぁ。

しょうがないから、もう一本開けよ。

出来るだけ早く、酔ってしまいたい。

プルタブに爪を立てたその時――――。