「その後は……少し休むか。朝から緊張しっぱなしで疲れたろ?」
言われて気付かされる。
今、ものすごい気だるさを感じているのは、朝から張りつめていた緊張の糸が一気に緩んだせいかもしれない。
「確かに」と言いかけ、私は息をのんだ。
遼がじっと私を見ている。甘い熱を帯びたその眼差しは、初めてみるものではない。むしろここ最近知ったばかりのものだ。
彼が笑みを浮かべただけで、どきりと鼓動が高鳴った。
自然と見てしまったのは、形の良い彼の唇。周囲の物音が遠のき、自分の心音と、彼の言葉がやけに大きく迫ってくる。
「朝じゃないか……昨日の夜から緊張しっぱなしって言うべきだった?」
頬に触れていた彼の指先がすっと下がり、私の首元をさらりとなぞった。
そこは、彼が口づけで私に印を刻み込んだ場所だ。
気恥ずかしくなってしまうため、実はずっと昨日の夜のことを思い出さないようにしていたというのに、遼の言葉が全てを打ち崩していく。
秘めていた熱が呼び起こされ、体が熱くなる。
否定や反論をしようとしても、昨夜の記憶が蘇り、何も言えなくなってしまう。
顔を熱くさせ涙目で睨みつければ、遼が小さく笑った。



