独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


見れば、スリムな男性は自分がしでかしてしまった事態に顔色を悪くさせるどころか、手にしていたコーヒーを飲み、リラックスした様子でほっと一息ついていた。

大物なのか、それともいろいろ鈍いだけなのか。唖然としてしまう。


「……おい」

「あぁ。失礼しました。熱い方が好きなのですが、すっかり冷めきってしまいました。まぁ、それも美味しいので構わないのですが」

「ふざけてんのか!」


榊さんが再び声を荒げれば、スリムな男性が口元に不敵な笑みを浮かべた。


「いえ。ふざけてなどいませんが……しかし、おかしいですね。こんなに冷めているのなら、やけどなどするはず有りませんし。そもそも、コーヒーは本当にかかりましたか? 確か、袖にしみができている、でしたよね。確認させていただいてもよろしいでしょうか?」



一瞬で立場が逆転してしまった。

丁寧な口調で鋭く相手を追求し始めた男性から、余裕があるのが伝わってくる。

鈍いのではなく、大物だった。

もしかしたら、榊さんはとんでもない人に喧嘩を吹っ掛けてしまったのかもしれない。

男性の要求に榊さんはふて腐れた顔をした。素直に応じるつもりはないようだ。