私は倉渕君に運ばれてきたビールへと手を伸ばした。
そのままゴクゴクと、苦い飲み物を喉に流し込んでいく。
「ううぅ。まずい」
「酒が苦手なくせに、結構飲んだな」
「お酒飲まなきゃ、やってられない気分なの!」
私はビールのグラスを倉渕君へと押しやり、大きく息をついた。
「私。結婚するんだって」
「……は?」
「だから、この人があなたの結婚相手よって、お母さんが、写真をどーんって」
身振り手振りを交えて説明すれば、倉渕君の大きな目がさらに大きくなっていった。
言葉にしたら苛立たしさが再熱してしまった。
返したばかりのグラスを引き戻し、ビールの残りを一気に飲み干した。
「亜由子! おかわり!」
彼女に向かってグラスをかかげれば、苦笑いされた。
「でね。相手は……えぇと確か……榊商会の三男だったかな。榊ナントカさん。その人が私の結婚相手。決定事項だってさ。母が明日は見合いよーなんて言うから、嫌だって怒ったの……って、おーい。倉渕君聞いてる!?」
倉渕君が目を見開いたままの状態で固まっている。腕を掴んで揺すると、ハッとしたように私を見た。



