「西沖、靴と靴下脱いで」
「えっ?」
倉渕君が救急箱の中にあった湿布を手に席を立った。
そのままその場に片膝をつこうとしたから、私は慌てて湿布を奪い取る。
「そこまでしてくれなくていいってば! 自分で貼るから」
木を伝って部屋から逃げ出したり、いろいろアクティブなことをしてしまっているけれど、実は今日、私はスカートを履いているのだ。
ひざ丈だから、倉渕君に跪かれてしまうと、目線が気になってしまう。
渋々といった様子ではあるが、彼が椅子に座り直したのを確認してから、私は右の靴と靴下を脱いだ。
痛みを感じる場所に湿布を貼り付け、私は静かに切りだした。
「あのね倉渕君。実はいろいろあって……いま私、お財布を持ってないの。実家に置いてきちゃって、今すぐ取りに帰るのも、ちょっと難しくて……」
「無一文ってこと? そんなこと気にするな。食事くらい奢ってやる。好きなだけ食え」
「ううん、後で返す。食事代だけ貸してくだ……」
最後まで言わせてもらえなかった。
さっきまで優しく手当てしてくれた人の手だとはおもえないくらい乱暴に、両頬をつままれた。ちょっと痛い。



