独占欲全開で、御曹司に略奪溺愛されてます


危機を脱する方法は思いつかなくても、目は自然とホテルの出入り口の方へと向いてしまう。遼の姿を探し求めてしまう。

車は降りたと言っていた。もうすぐここに来るはずだ。


「その人も一緒に連れてきて。私たちが車に乗ったら、解放して良いから……行くよ、お姉ちゃん」


再び美紀に手首を強く掴まれた。

引きずってでも連れて行こうとする美紀に、痛みで歯を食いしばりながら必死に抵抗する。

遼がすぐそこにいる。あと少しで会えると言うのに、これ以上引き離されるわけにはいかない。

掴まれていない方の手で持っていたバッグを思い切り美紀にぶつければ、彼女の手の力が弱くなった。

力いっぱい振り払い、私は走りだす。


「先に、その人を連れて行って!」


背後から聞こえた美紀の命令に、足が止まりそうになる。しかし、捕まるわけにはいかない。気持ちを振り切るように両足に力を込めた。

喜多さんが無事に逃げだせることができますようにと祈りながら、そして自分の姿を見失ってもらえることを願いながら、人と人の隙間を縫うように走っていく。

辺りに視線を走らせながら、正面玄関へと懸命に進んでいく。

大きな柱に手を突き、足を止める。呼吸を整えながら素早く視線を走らせ、あっと声をあげた。

今まさに目指していた入口を通り、遼が颯爽とした足取りでホテルの中へと入ってきたからだ。


「遼!」


はやる気持ちを抑えきれないまま、一歩を踏み出そうとしたけれど、足元の段差に気付かず、躓きそうになる。