「あぁ。実家をでる予定だし、どうせならふたりで住んでも充分な広さがあった方が良いかと思って」
「……え?」
仕事部屋と寝室を分けて、あともう一つは趣味の部屋にでもするつもりなのだろう。
そう考えていたから、追加の情報に再び唖然としてしまった。
そんな私の顔をみて、遼がふっと笑みを浮かべる。
「なんて顔してんだよ。いつかは一緒に暮らすんだ。だったらそれが今だとしても良いだろ」
一緒に暮らす。
彼の言葉を心の中で繰り返せば、トクリと鼓動が高鳴りだす。
「気に入ったのがあれば、このあと内見できることになっている。俺の仕事が終わるまでに、じっくり見て選んでおけ」
「……うん」
私、本当に遼と一緒に暮らすの?
信じられなく思いつつも、返事をしてしまった。徐々に嬉しくなってくる。
笑みを浮かべれば、遼が心なしかホッとしたような顔をした。
「良かったですね。囲い込み成功です」
「黙ってろ」
遼と中條さんのやり取りに笑っていると、ポケットに入れていたスマホが振動した。
途切れず震え続けるそれを慌てて掴み取り、私は眉根を寄せた。実家からの着信だったからだ。
見合いのことがあって以来、実家から電話がかかってくることなど一度もなかった。



