遼から“弁当じゃなくて肉を焼いて食いたかった”と言葉が送られてきたからだ。
そしてすぐに、“麻莉と一緒に”と彼の言葉が続けば、自然と笑みがこぼれた。
家でひとり寂しく済ませた夕食を思い出しながら、“私もだよ”と心に思い描いた遼に気持ちを伝える。
レジの順番が回ってきて手早く支払いを済ませたのち、“今夜、何時くらいなら電話をしても大丈夫?”と文字を打ち込みながら、私は店を出た。
歩道を進みながら送信ボタンを押し、私は夜空を見上げる。
美紀に呼び出され家を出た時点で雨はすでにやんでいたのだけれど、まだ歩道は濡れたままで、これからまた降るんじゃないかと思うくらい空気はとてもひんやりとしている。
家はここから歩いて十分ほどの場所にある。それほど遠くはないけれど、寒さに震えてしまう今はとてつもなく遠く感じてしまう。
遼からの返事を心待ちにしながら家路を急いでいると、再びスマホが着信を知らせる。
「嘘!……はっ、はいっ!」
勝手に文字で返事が来るものだと思いこんでしまっていたため、本人からの電話に慌ててしまう。
「嬉しそうだな。声がはしゃいでる」
「なっ。違うよ。まさか遼から電話がくるとは思わなかったから。慌ててるだけ!」
「うそつけ。顔がにやけてるぞ」
「にやけてな……え?」



