そう話しかければ、遼は少し考えるような顔をしたのち、ニコリと笑みを浮かべ頷いた。


「あぁ。分かった」


ぽんと、私の頭に手を置いてから、彼は私に背を向ける。

男性と合流した遼は、すでに倉渕物産の専務の顔になっていて、凛々しくてカッコいい。


「倉渕物産はますます成長するでしょうね」


喜多さんが私の手を握りしめたまま、楽しそうに笑う。


「私もそう思います」


彼ほど心が温かくて素敵で優秀な男性を、私は知らない。

知れば知るほど、遼を好きになっていく。

もう引き返せない。