「では先日起きた事件をお伝えします。昨夜10時頃、K県O市の路上で原因不明の爆発事件がありました。この事件で40代の男性一人が右足を失う重傷を負いました。また、この事件の被害者は事件に巻き込まれる前に窃盗事件を起こしていたとのことで、犯罪を犯した者が原因不明の爆発に巻き込まれる事件は、ここ2ヶ月のO市だけでも今回で13回目です。犯人は現在も逃走中とのことで警察は慎重に捜査を進めt」
夜神はテレビリモコンの電源ボタンを押した。
「さすがにこんだけやってりゃあ自然現象じゃなくて事件だと思われるのも不自然じゃねえよな」
夜神は1人呟きながら壁に掛かった時計を見上げる。
「もうこんな時間かよ」
夜神は学校へ行く支度をし、身だしなみを整えてから玄関を出る。
「うーっす夜神!」
歩道からクラスメートの拓人が出てくる
「おう、拓人か。今日は部活ねえのか?」
「今日はないっすよ、夜神の方こそ部活はないんすか?」
「俺は部活入ってねえよ」
「ありゃー帰宅部っすか。じゃあいっつも家で何してるんすか?」
「いろいろと」
「勉強とかゲームとかっすか?」
「まあそうだな。それより昨日の爆発事件、あれどう思う?」
「昨日の爆発事件っすかー。最近多いから怖いっすよねー...警察がいくら調べても原因不明で犯人も捕まらないみたいっすしね」
「まあ犯人は犯罪者ばかりを狙ってるようだし、俺らに被害が及ぶ事はまずねえよな」
夜神はそう言いながら石ころを蹴る...ゴツッ 石が何かに当たった音がした。
「あー夜神、車にやっちゃったねー。しかも高そうな車」
「まあ傷も付いてないしバレてねえから平気だろ」
その時、後ろから誰かに制服の襟を掴まれた。
「何がバレてねえってぇ?アァン?」
夜神の襟を掴んだのは如何にもヤクザらしい服装をしたゴツい男だった。
「ヒィッ」
拓人は怯えながら声を漏らす。
「お、俺は知らねえからな!?」
拓人はそう言いながら走って逃げていく。
(卑怯なやつめ...)
夜神は心の中でそう思った。