_遼side





えーと、はい。


篠崎 遼です。





俺がレイと出会ったのは、


中学に入った時。




繁華街にいた俺が

喧嘩で怪我しているところを


手当てしてくれたのが

まだ小学生のレイだった。






あいつもなぜか

血だらけで、


『お前、その血は大丈夫なのか?』



と聞いたら、



「私のじゃないから。」




と、温度のない声で答えた。





目を見ると




すごく怯えているように見えた。






あぁ、こいつは孤独なんだなって



守ってあげたいって思った。




そのために俺は強くなった。







中学3年の時

正統派の白虎に入って幹部になって、

レイの居場所をつくった。




だけど、レイは事故に遭った。



命には別状はないけど、



すぐには目を覚まさなかった。






それから3ヶ月経って



目を覚ました。








病院に行ったけど、







別人だった。



記憶を失っていた。



俺は悲しくなって

病室を後にした。









何も知らず、ただ笑っている

今のあいつに、

過去を思い出させたくはない。



だけど、このままあの家にいたら


また同じだろう。







記憶が戻った時、




もし戻らなくても
辛いことがあった時、




お前には居場所があるんだって



教えてあげたい。




少しでもいいから



心から笑ってほしい。





『レイ、俺はお前の味方だ。』