「あ、いえ……そういう基礎的なことは…」

「うわっ、まじかよ!! やっぱそうかー!! 俺も専門にしとけば良かったわ」

「あの……」

「なーんてなっ」

彼はくしゃっと笑った顔を見せた。

あ、笑いジワ……それに……八重歯もあるんだ。

かわいい……。

「なんなんなん、そんなに俺の顔見て」

「あ、いや……別に……」

「あんた、何歳?」

「あ、19です!!」

「……俺も一緒」

「え、ほんとに?」

「ははっ、知った途端に敬語なしか!」

「あ、ごめん……」

「別いいよ、俺もそっちのがいいし」

「……ランニング、しよったと?」

「ん、そう。俺、スポーツ推薦もらって今の大学入ったんよ」

「そうなんか、すごいね……」

「……そういや、まだ名前聞いてなかったよね。聞いてもいい?俺は、藍原 永遠。永遠って字書いてとわ!」

「あ、私は、青島 志歩。志して歩くって書いて志歩!」

「志歩な!了解!!気分どうなった?」

「あ、だいぶいいかも…」

「そりゃ良かった。そんじゃ、俺はそろそろ……」

そう言ってとわは立ち上がった。

そんなとわを呼び止めた。

「あ、待って。」

「ん?どした?」

「これ……良かったら……」

「え?」

「ごめんなさい、今、お礼できるのがこれしかなくて……、抽選でしたもので悪いんだけど……良かったら…お友達とどうぞ」

「……これさ、一緒に行かない?」

「え、でも……それじゃお礼には……」

「いやいや、なるから!まぁ、でも、いきなり1:1は色々問題あるだろうから……友達誘ってさ!」

友達……。

「……うん、わかった」

「じゃあ、LINE交換しない?その方が色々と便利だし」

「うん、いいよ」

「それじゃ、また」

「うん……」

走って行くとわを見届けて私は空を見上げた。

「友達、か……」