ノラと呼ばれた男【壱】

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俺があの時、約束を守っていたら、
俺があの時、庭から出なければ、
俺があの時、玄関で待ってたら、



母は死ななかった


殺したのは……………………俺だ







俺が、あそこに居たから、

俺が、生まれて来なければ、

俺が………………死ねば良かったのに








だから、全てを諦めて捨てるつもりだったんだ



――――――――――――――……迅に会うまでは








『お前、…………俺と来い』



ただ、それだけの一言なのに……


あの時、確かに救われた。迅の言葉に。







けれど、拭えない、消えない……



…………………………この恐怖、


大切な物が手から消える、あの感覚だけは誤魔化せない







もう、これ以上作りたくないんだ


大切だと思える存在を。


両手いっぱいに埋めてしまえば…守れない、と思ってたから






だから、覇王に居るのも潮時だと思った





新しく入った……と言うか、彼等と打ち解ける彼女を見て……………………


なんとなく、分かってた



アイツらにとって…大切な人になると










そして…………多分、俺にとっても、




………だから彼女を覇王に押し付けようと考えていたのに、