ノラと呼ばれた男【壱】

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奴等が去った後も、つい、その方角を見ていた私


そんな私を引き戻したのは、藍で、







「………………姫」



我に返った私は、膝に頭を乗せてる藍の髪を撫で、極力優しい声で返事をした




「…………ん?」










そうすることで、‘’自我‘’を抑えられる。



今、私がするのはアイツらを追い掛けて潰す事じゃない……今、必要なのは……




「なんで…………庇ったの、俺なんか」



「…………藍?」



「逃げれば良かったのに、



……俺なんか…………庇う価値ないよ」







そう呟く藍は、泣いてるような表情で




辛そうな顔して、そんな事言うから、


…………悔しくて、歯痒くて、







少しでいいから、そんな表情消えればいいな。なんて柄にもなく思った、



「……価値って何」



「…………ひめ…………?」



「他人が他人の価値なんて決めれない



藍は‘’俺なんか‘’って言うけど、藍は一人しか居ないんだよ」









この世界に、自分と言う存在はただ一人


なのに、なんで自分を蔑む必要がある?

それは誰が決めた?



ねぇ………………藍、










藍が背負ってるもの、私は知らない



たまに見せる悲しそうな顔、
そして、今、見せてる…泣き出しそうな表情



教えてくれなきゃ、分かんないよ








ねぇ…藍、今、私が貴方に掛ける言葉は残酷かもしれない。



それでもね………………言わせて?