ノラと呼ばれた男【壱】



そう言う私を藍が、優しく……でも寂しげに見た事など気付く事なく、









「遅くなっちゃったね!帰ろっかぁ」



藍の普段な声音と笑顔で、それらは消され



「うん!」



「家まで送るよ、どこら辺?」







何気無い会話が心地よくて、



だから……少しだけ願ってしまった。









「○○書店の近くなんだけど、」



「オッケー、んじゃ安全運転で帰りましょーかね姫♪」










この時間が……もうちょっとだけ、






続けばいいのに、と。












でも、それは所詮、ただの願いで。




暗く、深い‘’何か‘’が近付いていたことに私たちは………………、






気付く事なく、




数分後、それらに巻き込まれる事となった―――――――――――…