ノラと呼ばれた男【壱】

しどろもどろで、お礼を言った私に、

迅はさっさと背を向けた。






その肩は微かに揺れてて、迅の前に回り込んで顔を覗けば……………………、


「くっくっく…………お駄賃ってなんだよ」


めっさ爆笑の迅様。

もう、いっそその笑顔が貴重だと思う私は頭が変とかではなく。普段の迅を見ているからこそ、そう思えた

どちらかと言えば無表情が多めだが、逆に言うなら、無理して笑う事はなく、



たまに見せる優しい微笑みが、すっごく温かいものだと気づいた。

特に、皆を見てる時の迅は…………

羽音が母なら、迅は皆の父親みたいで、





皆からしたら、きっと迅の存在は大きい……と思う。


支配する「絶対的存在」ではない‘’それ‘’はとても温かい








だからかな。たまに…………重ねてしまう



昔いた自分の場所と。







もう、手放してしまった場所だけど


私が「懐かしい」なんて言う資格もないけど、










それでも、たまに………………願ってしまう