ノラと呼ばれた男【壱】

【姫川side】


迅のバイクに乗せられ、走った時間は長い様で短かった様な……そんな感覚。

ただ風だけが身体を包み、普段なら気になる音も風に掻き消され、居心地すら良いと思えた。



そう言えば最近、バイク乗り回してなかったもんなぁ

だからかな。なんか落ち着いた。





そのせいか、迅の「着いたぞ」の一言に目的地がもっと遠ければ良かったな。なんて思ってしまった

「あ、うん、…ありがと」


「ん」



迅が先にバイクから下り、さも当たり前の様に片手を差し出した。

その糸が読めず迅を見やれば、

何故か視線が合わず……………………、






嗚呼、なるほど。そーゆー事か!


「ごめん今、お駄賃持ち合わせてなくて」


「……………………じゃなくて、手」






え。……………………手?


手がなんだ?ん?あ…………「お手」って事?いやいやいや、私まさかの犬扱い!?酷くね迅様っ、





などと言う内心の呟きを他所に、迅は「下りづらくないか」と、一言。

その一言で、迅の言いたい事が分かった私は、一気に羞恥心が自分自身を襲った。





ばっ、……バカすぎる私っっっ!


手=お駄賃=お手。に行着く私ってアホすぎる←

迅が言いたかったのは「手貸すぞ」って事だったのかあぁぁぁ、難しくて分かんなかったぜチクショウ

てか。そんな扱いされた事ないからな?




打ちのめされて(精神的に)いた私を、何か勘違いしたらしい迅は、頭に「?」を浮かべた数秒後、何を思ったか……、

軽々と私を両手で持ち上げ、バイクから下ろしてくれた






「!!!???」




「ん。下りにくいなら早く言え」



だそうです。なんかゴメン、色々勘違いしてた私を海に沈めて下さい




「あ、……りがと」