ノラと呼ばれた男【壱】

と、そう言われ。売店に行く途中、一華を‘’あの場所‘’に連れていきたい。と藍に言われた事を思い出す



「もう少し寝とく?」


不意に、そう言葉を掛けられ頭を振った


「いや、大丈夫だ」



と言うか、どのくらい寝てたのだろうか

もたれ掛かる様にして寝た挙げ句、手を握っていた…なんて藍辺りに知られたら面倒そうだと息を吐く。







「悪かったな、」



「ん?」



「体勢キツくなかったか」



立ち上がり様、自然とほどけた手。

変に引き止める事なく、離れた手は、与えられた体温が減り。何故か其が寂しく思えた。


…………末期だな、俺は


あの夢を見たからか、今の俺は俺らしくない




再度、頭を軽く振り。ゆっくりと息を吐く






「余裕余裕、寝顔御馳走様でした」



「ふっ、…………行くか」


手を合わせて拝む姫川一華の頭を、くしゃりと撫で笑えば。つられて一華も笑む



「歩き?」


「いや、バイク」





歩き出した俺に小走りで近付き、聞いてくる姿は小動物の様で、

無意識に上がる口角を掌で隠し、ポケットに突っ込んでいたバイクの鍵をチラつかせた――――――……