ノラと呼ばれた男【壱】


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【迅side】

俺には追い付きたくても、追い付けない奴がいる。黒髪に赤のメッシュの男

どん底にいた俺をぶん殴って、目を覚まさせてくれた恩人


もう、昔の事で顔はうる覚えだが、

2つだけ覚えている事がある。






それは右腕の刺青で、4匹の竜が絡まるように彫られている事と、黄金色の瞳


ただ、それだけを頼りに探している

またもう一度会って、礼が言いたい











‘’強さは力だけじゃねぇ、心も強さに含まれんだよ‘’


あの時、言われた言葉で俺は救われた。

誰でもない………………ノラに






突然現れ、ふらふらと消えるアイツの幻影。それでも手を伸ばさずにはいられなくて………………、


懲りずに何度も手を伸ばす。






「あ、…………迅起きた?」


と。伸ばし掛けた手は、いつもの様に何も掴めずに終る筈だった。

そう、ただの幻影で夢で、




「大丈夫?まだ寝ぼけてる?」


いつも、目覚めの後は虚しくなるから、


「ねえ、聞いてる?」



「……嗚呼」



思わず握り返してくれた姫川一華の、細くて白い手を凝視した。

その視線に気付いたのか、一華が笑う




「なんか手、伸ばして来たから」



「…………」



「まだ眠い?」





と、黙り込んだ俺はイコール眠い。と勘違いされた様で再度笑う一華






「いや、大丈夫だ。他の奴等は?」



「あー……、なんか先に行ったよ?

‘’いつもの場所で待ってる‘’って」