ノラと呼ばれた男【壱】

私って、狡い奴だな。って改めて実感した

皆の事、知りたいし。側にいたいのに、
自分の事は何一つ話さない…なんて、


なら全部話す?

それで、今までみたいな関係でいられる保証は?







何一つ、私が与えられるものはないのに



「一華」


急に呼ばれ、慌てて顔を上げれば、

ぽん。っと頭を撫でられた。



「え?……なにー?」






突然のその行動は、まるで‘’大丈夫。分かってる‘’と言ってくれてるみたいで、


ちょっと悔しくて、
ちょっと嬉しくて、






「置いていかれたガキみたいな顔してる」



「何それ」

思わず笑えば、迅の目元が柔らかく下がり。不覚にもドキっとしてしまった。




「気のせいなら、いい」



「うん、」



「俺は、…俺たちは此処にいる」






そう言って、そのまま迅が私の肩に凭れてくるから…………、



「うぇぇぇぇいぃぃぃ!!??



何々、迅だけ抜け駆けずるいーー!」




「うっるせぇな藍はよぉ、なぁ、じ…………ん?」








と、顔を覗き込んだ時雨が眉間に皺を立てたまま小さく呟いた。




「……………………寝てやがる」






と。そう言えば、なんかスースー言ってるなー。とは思ったけど、寝息かよ!←