「それよりさ、……さっきの話しだけど負け戦する気?正直お勧めはしないなぁ」





和んでいた空気が、一瞬にして張り詰めた空気へ戻り、

笑っていた時雨、藍、赤鬼、青鬼の表情が曇る。まぁ、面してる二人は表情って言うより纏う空気が重くなった、って表現が正解かな

唯一、普段と変わらないのは迅だけで、








「それは…………、」


と、言い淀む青鬼。せめて勝機が見れる状況までもって行かないと羽音の言う‘’負け戦‘’になるのは残念ながら、目に見えている

大体、半数以下って正確には何人‘’こちら側‘’かも知りたいところだ





「乱鬼のこと調べた。って言ったけど、自分が把握してたのは最初だけでね、内部が分離したとこまでしか知らなかった


でも、思った以上に事は重大…でしょ?下手に攻めて、残った彼等の居場所すら失うつもり?」


それは、あまりにも酷だよね。と真っ直ぐに言い放つ羽音に、流石の二人(赤鬼、青鬼)は押し黙る。

けれど、残念ながら事実。

単身で乗り込んで来た壽が、乱鬼の幹部ら二人を重症にしただけではなく下っ端も一人で片付けた男。

潰す相手が一人なら、まだ良かったかもしれない






だが、壽が持っている族のメンバーと乱鬼から奴に手の平返した族の人数を合わせれば、どう考えても不利なのは……





「じゃあ潰されるのを待てって、言ってんのか」




「そんな事、一言も言ってないでしょ」




「っ、」







ぐっ、と堪える青鬼。握りしめていた拳が微かに震えた。焦燥感、怒り、哀しみ、多分全ての感情が彼を動かしている

だからこそ焦っては駄目だ、と迅が呟く






「そこで、だ……手を組まないか」




「……それは…………傘下に入れ、って事ですか」