ノラと呼ばれた男【壱】

最初に仕掛けたのは赤鬼で、握った拳を迅の顔面目掛けて殴りかかるが、

読めていた、と言わんばかりにイナされ

咄嗟に迅から距離を取る。





「どうした、遠慮しなくていいぞ」


攻撃は終わりか?と言いそうな顔で迅が近付き、赤鬼は一歩後ずさる

そうする事で壁に当たり、行き場を無くし

誰もが「終わったな」と思った筈だ。






少なくとも、私と青鬼は赤鬼が一瞬、見た先を捉えていた、


チラリ、と視線を向けたのは壁で、

一歩、前に来たかと思うと、そのまま勢いに任せ後ろに下がり……、

壁をバネにして蹴り、赤鬼の身体が宙を浮く





そんな中、狙いを定めて踵を落とす。


ガンっと、何とも痛そうな音が響いたのは言うまでもなく、

ただし、それを迅はギリギリで交わした




まだ、その顔には焦りの色はなく、







「……避けるだけじゃ、終わらないよ?」



ただ来る攻撃を、1つ1つ見ているような……そんな余裕すら感じられた




だからこそ、迅が落とした言葉にゾクリとしたものが身体を走り抜けた














「嗚呼……、なら終わりにするか」



と。瞬間、青鬼ですら武者震いをしたくらいだ。闘いてぇ、なんて唇が動いたのを私は見逃す事なく、

こいつら、若いなぁ。なんて、年寄りみたいな台詞を内心呟いた





そして、迅が言った通り‘’それ‘’はすぐにやって来た―――――――――――――……、