ノラと呼ばれた男【壱】






そう言って、部屋を出て行った壽。

一部始終を見ていた幹部らが止めたが、振り返る事なく去って行った。





ああ見えて、壽は乱鬼の幹部と息が合っていて。よく此処に顔を出していた事もあってか下っ端も壽になついていた

当然、最初、奴と奴が作った族を傘下に入れる事、全員が反対した。



誰もが伊月に「正気か?」と責めたのを、俺はよく覚えている。

「勿論、正気だよ。冗談で言える内容じゃないでしょ」

と、返した伊月の言葉に幹部全員が顔をしかめた。





「まぁ、確かに奴を敵に回すより手元に置いてた方が安全、か」


伊月が省いて言わなかった台詞を付け足して言った俺に、全員の視線が集まった。何を驚く事があるのか理解し難いが、伊月が言いたい事は多分そういう事ではないだろうか?

単独で倉庫まで乗り込み、下っ端半数以上が全滅。幹部の二人が重症。

で、伊月が出る羽目になるくらい厄介な相手






そう感じたからこそ、の判断だ。

身近で目の届くとこに置いとくのが妥当だと俺も思えた。










そう、その時はそれが一番いい選択をした筈なのに…………………………、




奴が部屋を出て行ってから数日後、

幹部3名と下っ端が、壽の後を追い、








そして、その数ヵ月後、


半分以上が爛に手の平を返した