ノラと呼ばれた男【壱】

「お前ら‘’乱鬼‘’だな」







と、彼は私から目を逸らし、彼らを見据えた。それは、あまりにも真っ直ぐで、


全てを見透かしているような瞳。








てゆーか……あれ、乱鬼って確か評判の悪い暴走族だったハズ。



うぇぇ、柄の悪いのが同じ学校とか嫌だなダルっ







「っっっ、うるせぇうるせぇ!」



「乱鬼で悪いかよ!?俺らの総長はな、お前らよりも強ぇ!





………………っ、覚えてろよっ!」









と、何故か脱兎の如く逃げていくハゲ2人。




…………えっと、つまり結果的に助かった…のかな?









「おい、お前」


「え、あ……はい、」


ぼぅっと、彼等が去った方角を見ていた私に声を掛けたのは……、



と言うか私とコイツしか居ないんだけどね(笑)



「それ、俺のだ。


拾ってくれて助かった」




「え!?あ、あのっ」








え、何この展開。え、まさかのドッキリとかか!?とマジで思うくらいに驚くのも無理はない、



軽くだが、今、彼は私に頭を下げた




――――――――……もしかして、








「大事なら無くなさいように、ね?」