ノラと呼ばれた男【壱】

その、一言で二人の動きが止まった。






―――――――……誰だ?


そう問う間もなくヤンキー二人が口を開く、





「「…………覇王」」




と。それは彼の名ではなく多分、




「聞こえなかったか?


俺は今、‘’何してる‘’と聞いたんだがな」








決して殺気を出してるわけじゃない、



のに威圧を感じるのは、どうやら私だけじゃないらしい






「い、……いや、あの…………こ、コイツがアンタのを……持ってたから」



「…………とっ、取り返そうと…………」





そう言葉を吐いたハゲ1とハゲ2の顔は蒼白で、


(つかやっぱ、コイツらのネックレスじゃなかったのかよ)






「…………消えろ」



「「……………………え」」


と、あまりにも冷たすぎる一言に。

二人の冷や汗は止まらない。






「ちょ、…………あんまりじゃないすっか~」


「せっかく俺らが取り返そうとおもったのによっ!」








だそうです。どの口が言うか。

さっき‘’奪う‘’発言したのは何処ぞのハゲだよ!?




と、内心呟けば。


一瞬。ほんの一瞬、ヤツと目があった






――――――……漆黒の瞳、か。


(嗚呼…………思い出した、このネックレスは………………、)








‘’俺‘’がコイツにあげたやつだ、