「気をつけるんだぞ。ああいう事もあるから。」

「はい。」


私は俯いたままだった。

『どうして窓を開けちゃったんだろう。』

そう思うと私達の迂闊な行動が恥ずかしくて、顔を上げられなかったんだ。


すると、ポンッと相葉先生が私の頭を撫でて、


「今日は俺達も外で見回るから、安心して眠れよ?」

「えっ?」


私が見上げると、相葉先生は優しい笑顔で見下ろしていて、

その表情を見た途端、きゅうっと胸が締め付けられる。


『私は相葉先生のこういう表情が好きなんだ。』


そう、思っていた。



「はい…。ごめんなさい…。」


先生達に迷惑を掛けてしまう申し訳無さと守られる安心感。

その両方が、私の心の中にじんわりと広がっていくのも感じていた。



「じゃあ、行きましょうか。」


部屋の中で瑞穂たちと話していた担任の先生が、振り返って相葉先生にそう声をかけると、


「そうですね。」


そう言いながら、相葉先生はゆっくりと私の頭から手を離した。


先生の手の温もりが、私の髪に残っているような気がした。


そして、


「おやすみ。」


先生達は私達にそう言ってから静かに部屋から去っていき、

部屋を出てドアが閉まる寸前に見た相葉先生は、とっても優しく微笑んでいた。