コンコン



男の子達が逃げ帰っていったと思ったら、今度は私達の部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。


ドアに付いている小さな窓から覗くと、その向こうには担任の先生と相葉先生が立っている。


「先生がいる!」


私は振り返って小声でみんなに伝えると、他の子達も代わる代わる小窓から覗き込んだ。



コンコン



更にもう一度ノックをされた後、

「おーい。」

と、担任の先生の声が聞こえてきたので、


「はい!」

と、私達は慌ててドアを開けた。



「お前ら大丈夫か?今、他校の生徒が来なかったか?」


そう言いながら部屋に入ってきた担任の先生に続いて、相葉先生も入り口付近まで入ってきた。


先生達は私達の事を心配して見に来てくれたのだった。



「大丈夫です…。」

「ああいう時、絶対窓を開けちゃダメだぞ。」


先生に押し込まれるように室内へと入っていった瑞穂と同室の子達が、担任の先生と話し始め、

その会話の最中、私と梢と相葉先生だけが入り口付近で立ち止まっていた。


ふいに相葉先生と目が合うと、先生は“ハァ”と溜め息をつきながら、


「何事もなくて良かった…。」

と、私達に言った。


安心したような、少しだけ困ったような、そんな笑顔を浮かべた相葉先生に、


「すみませんでした…。」


顔を赤らめて、私と梢はペコリと頭を下げたのだった。