旅行2日目。


この日も観光地を歩き回り、私達はクタクタになってホテルに戻ってきた。


自由行動の時に相葉先生とすれ違う事はあったけど、写真を撮ったり、特別な何かがあったわけではない。


“先生、一緒に写真撮ろうよ”


この一言が言えたなら、私はどんなに楽だっただろう。


私は意識すればする程その一言が言えなくて、いつまでも言い出せない自分に苛立ちさえ感じた。


だけど、瑞穂と梢がいてくれるお陰でとても楽しく過ごしているのだから。


それだけで十分だと思わなくちゃいけない気もする。



「はー、お腹いっぱい。」


夕食を済ませた私達は、部屋に戻って歩き疲れた足といっぱいになったお腹を休ませる事にした。


梢はふくらはぎと足の裏を揉みながら、

「かなり歩いたよねー。もう、足が痛いよ。」

と、天を仰いだ。


「本当だね。」


そう答えた私と瑞穂も、梢と同じようにクタクタだった。


すると、


「先生達ってどこにいるんだろう?」


同室の子達が私達に聞いてきた。


私達が泊まってる部屋は6人部屋で、瑞穂と梢の他に、3人のクラスメイトが同室だった。


彼女達は昨日、他の部屋へ次から次へと遊びに行っている所を見回り中の先生に見つかって怒られたらしい。


どうやら、また遊びに行きたいが故に、聞いてきた様子だった。


「ごめん、私達にも分かんないなぁ…。」


そう答えると、


「そっかぁ、そうだよね…。」

と、彼女達は残念そうな表情を浮かべた。


本当に私達も先生方のいる部屋が分からなかったから、


『相葉先生がどこにいるかだけでも知りたかったな。』


そんな想いが込み上げてくる。


もしも部屋が近かったら嬉しいし、遠かったとしても、その存在を感じられたらもっと心が穏やかになれた気がする。