飛行機を降りてから更にバスで揺られて、私達は目的地に到着した。


大人数で沢山の観光スポットを回り、それからホテルにチェックイン。


チェックインする頃には辺りはすっかり暗くなり、ホテルに入ってからすぐに夕食となった。


宴会場らしき大きな部屋で、全クラスの生徒と先生が並んで食べるのだけれど、


見るとすーっごく遠くに相葉先生がいて…


結局、私が最初に期待していたような相葉先生とのひと時は、欠片もない修学旅行初日となった。



夕食を済ませて自分の部屋に戻ると、


「今頃先生達って宴会でもしてるのかなぁ。」


ホテルの窓から見える景色は、お世辞にも“綺麗な夜景”と言えるものでは無かったのだけれど、街を眺めながら瑞穂が言った。


「そうかもねぇ…。さく、気になるでしょう?」


梢が丁寧に制服をハンガーにかけながら、珍しく意地悪っぽい表情で私を見る。


「…気になるよっ!」


私は旅行のしおりをペラペラとめくりながら、照れ隠しにわざと少しだけぶっきらぼうに答えた。


きっと梢は相葉先生を探してキョロキョロしている私の様子を見ていたのだろう。


「先生と話せそうなタイミングって、なかなか無いもんだよね。」

と、残念そうに微笑んだ。


「でもまだ始まったばかりだし!何かいい事があるかもよ?」


瑞穂は椅子の背もたれに腕を引っ掛けて、ゆったりともたれるようにこちらを見ていた。


「いい事、あるといいね。」


希望に満ち溢れていた私達は、とっても幸せに笑い合い、


『この旅行の中で、どうか私たちに良い事がありますように…。』


私は心の中で何度もそう願った。