「河原?河原さくか?」

「はい。突然、すみません…。」

「どうした?よく家の電話番号が分かったなぁ。」


さすがに先生も驚いている。


そりゃそうだ。


相葉先生は担任でも何でもないのだから、生徒から家に電話がかかってくるなんて、そう滅多にある事ではないはずだ。


私は後悔し始めながらも、

「あっ、あのっ、かなり前にもらったプリントに電話番号が書いてあったから!」

と、何を話せばいいのかも分からなくなりながら、必死に会話をしようとしていた。


「あぁ!そうか!そういうプリントがあったよなぁ。…そう言えば、友達の所には遊びに行ってきたのか?」


先生は夕方会った時に私が言った事を聞いてきた。


「う…うん!行ってきたよ!楽しかったよ!」


もちろん嘘。本当は友達の家になんて行っていない。

大喜びで家に帰ってきたのだから。


「先生はあの後、何してたの?」


これ以上“遊びに行く”と言った事を質問される前に、私は相葉先生に問い掛けた。


「オレ?洗車してから家でボーッとしてた。…で?電話なんかしてきてどうしたんだ?」


そんな相葉先生の質問によって、私は自分が電話をした目的へと引き戻された。


“告白”


一気に胸のドキドキが大きくなったのを感じる。


「あ…あのぉ…。」


私は緊張に押し潰されそうになりながら、必死に想いを伝えようとしていた。