――――…

私は先生に会った後、幸せな気持ちに浸りながら自分の家に帰ってきた。


妙にテンションが高い私を見て、母が不思議そうな顔をしてたっけ…。


その後の私は、数時間経っても幸せな気持ちのまま。


何もしなくても、相葉先生の事を思い浮かべるだけで幸せだった。


学校の外で会えたこと。


それと、ほんの少しでも先生と話が出来たっていう事が、こんなにも自分のテンションを上げるなんて、思ってもいなかった。


とても、とても、幸せな気持ちだった。


自分の部屋のベッドに転がって天井を見上げながら、

『相葉先生に早く会いたい。早く月曜日になったらいいのに…。』

そんな風に思っていた。


つい数時間前、とても動揺しながらも会ったばかりだというのに、もう“会いたい”という気持ちになっている。


私の心の中は、いつも以上に相葉先生でいっぱいだった。


そして、


『今なら自分の気持ちを言える気がする。』


そう、感じていた。


嬉しさから湧き上がる勢いだけで行動しようとしていた私は、ベッドに横たわっていた体を起こすと、迷わず、自分の部屋にある固定電話の子機を取った。


そして大きな深呼吸をすると、プリントに書かれている電話番号通りにボタンを押した。


プルルルル…

プルルルル…

プルル…


3度目のコールの途中で、ガチャッと相手が電話を取った。


「はい、相葉です。」


私は自分から電話をかけておきながら、本人が出た途端に


『どうして電話しちゃったんだろう!』

と、自分の行動を後悔した。


だけど電話を切る事も出来ずに、結局、


「せ…せんせ?か…河原です。」


と、不安や動揺を隠せないまま名前を名乗ったのだった。