海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

「え…?」


その人を見た瞬間、私の口から驚きの言葉が零れたのとほぼ同時に


「おっ?どうしたんだ?」


驚いた顔をして、こちらを見ている相手は間違いなく…


会いたくて、会いたくて、本当に物凄く会いたかったのに、

“今だけは会いたくない”と思っていた、相葉先生だった。


『本当に会うなんて!!』


驚いた私は“自然体でいなければ”と、自分を落ち着かせる事で必死だったけれど、


相葉先生の姿がジーンズにTシャツというカジュアルな服装で、学校では一度も見た事がない“休日の相葉先生”の姿に余計ドキドキしていた。


まるで知らない男の人と話しているような気分だった。



私はどぎまぎしながら、


「あっ、あのね!友達の家に遊びに行くの!」


そう言って、相葉先生に向かって手を振りながら、更にゆっくりとペダルを漕いだ。


「気をつけて行けよー。」


先生は優しい笑顔で私に手を振り、


「ありがとー!先生またねー!」

「おー。」


手を振り続ける相葉先生を肩越しに見ながら、更に大きく手を振り返すと、そこから一番最初に見えた角を曲がった。