海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

プリントの情報によると、相葉先生の誕生日は12月。


今の季節は7月だから、もうしばらく先だった。


住所は私の家から自転車で20分位の場所にあるアパートで、想像よりも以外と近くに住んでいるのだと感じた。


趣味はパソコン。

一言メッセージには、

「今日も楽しくキーボードを叩きましょう♪」

と、書かれていた。


『パソコンを担当する先生らしいな。』


そう感じて、読みながら私は軽く微笑んだ。


そして、そのプリントを見た時から、私は自分の心の変化を感じていた。



相葉先生の住所を知って、


『先生の家まで行ってみたい。』


そう思い始めていたからだ。



プリントに書かれている住所とアパート名をもう一度見てから、チラッと時計を確認すると、時刻はまだ夕方の3時。


もちろん外も明るいし、十分に出かけられる。


私はプリントをベッドに放り投げると、一目散に階段を駆け下り、1階のリビングにいる母に向かって、


「ちょっと出かけてくる!」


そう言って、パイル地の白いパーカーを羽織って外へと飛び出すと、自転車に飛び乗ってペダルを勢い良く漕ぎ出した。


相葉先生のアパートに向かう道中、私の胸はドキドキと高鳴るばかりだった。


先生の近くに行けるというドキドキと、

もしも先生と鉢合わせしてしまったらどうしよう、というスリルのドキドキ―…


それは先生の家の周辺に近付く程、強くなっていった。