大和との話し合いの末、訓練に応募した1週間後―…



私は選考試験を受ける為に、ある施設に来ていた。


選考試験の内容は筆記試験と面接で、受付を済ませると係りの人に、ざっと40名程が集まっている大きな教室へと案内された。


今回応募した訓練の定員は20名。


単純に、この部屋の半分の人しか訓練を受講できないという事だった。


その倍率の高さに私はとても驚いていた。



試験の時間になった頃、試験官らしき男性がやってきた。


その男性は教室の一番前にある教卓の所に立ち、私達と向かい合った状態で

「おはようございます。」

と、一礼した。


「では時間になりましたので筆記試験を行います。筆記試験終了後、順番に面接をさせていただきます。」


私達は試験の流れや注意点などの説明を受けると、その後すぐに筆記試験が始めた。


そして順序良く、面接へと進んだ。



筆記試験も面接で聞かれた事も、そんなに難しい内容ではなかったと思う。


とりあえず、後は結果を待つだけだった。



『今回不合格だったら、訓練は諦めて仕事を探そう。』


私はそう、思っていた。


なぜなら、いつまでも無職のままでいるわけにはいかないと思っていたから。



そんな決心をした上で結果を待ち続けて10日程経った頃、私の元に1通の封筒が届いた。


中に入っていた書類は、


“選考試験に合格しました。”


という内容のものだった。



嬉しさの余り、私はすぐに実家へ連絡を入れた。


「お母さん!職業訓練、受けられる事になったよ!」

「あら、良かったじゃない。」


そう言って母は喜んでくれて、私は無駄な心配をしていたのだと感じた。


もちろん大和も、


「良かったね!頑張って!」


そう言って応援してくれた。


訓練が始まるのは4月から。

高校を卒業して以来の学生のような生活が始まる事に、私はとてもワクワクしていた。