「すみません、この訓練の事を教えて下さい。」


私は職業安定所の担当窓口に行き、そこにいたおじさんから一通りの説明を受けた結果、


『今すぐ申し込んで選考に合格できれば、来月から受講できる。』

という、願っても無いタイミングだった。


「この訓練、受けたいです！」

すぐに訓練受講の応募をする事を決めた私は、必要な書類を用意する為に一度申込書を持ち帰る事にした。



そして、その夜。


仕事から戻ってきた大和に、職業安定所からもらってきた職業訓練のパンフレットを見せながら


「私ね、この訓練を受けてみようと思うの。」

と、告げた。


職業訓練担当窓口にいたおじさんから聞いた説明とほぼ同じ内容を大和に話すと、


「ふぅーん、いいね、これ。」


まるで、

『こんな制度があったのか』

とでも言うように、大和は私の話を聞いていた。



「でしょ？だからやってみようと思うの。」

「いいと思うよ！やってみなよ！」


そう言ってニコニコしている大和に、


「訓練を受けて就職するまで、ここにいても大丈夫かな…。」

と、問い掛けた。


それは私が抱えている不安の一つだった。


“就職が決まるまでは一緒に住んでもいいよ”とは言われていたけれど、訓練を受けると自動的にその期間が延びるわけで。


お互いの両親的に大丈夫かなって、心配だった。


でも大和は私の頭をポンポンッと撫でながら、


「大丈夫だよ、きっと。就職したら部屋を決めればいいんだし、そもそも就職する為の訓練なんだから。」


そう言って微笑んでくれた。


大和の頼もしい言葉に、少しずつ心の中の不安が解けていくのを感じていた。