海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

しばらくして、バイバイしながら男の子達が自分の車へと戻っていった。


男の子の後を追うように女の子も車に向かう。


ジン君の車に乗っていた女の子の内の1人は、友達と分かれてジン君に送ってもらう事になったらしい。


そして私も大和君に。


瑞穂は自分の車で、他の女の子達は隆二さんが送ってくれる事になった。



車に向かって歩く2組のカップルを見ていた隆二さんとカズ君は、私達を冷やかした。



私も大和君も恥ずかしそうに隆二さんとカズ君に挨拶をすると、


「行こう。」


そう言って、いつまでも照れ笑いを浮かべたまま、大和君の車に乗り込んだ。



それぞれが帰っていく様子を見ながら、


「…もう、すぐに帰る?」

「えっ?」


突然問い掛けてきた大和君を見ると、


「もう少し話したいなって思ったんだけど…時間も遅いし、ダメかな?」

と、彼は恥ずかしそうに言った。


車内の時計を見ると、時刻は深夜12時半近く。


次の日は仕事で朝も早いし、本当ならもう帰って寝た方がいいのだけれど、私も大和君と同じ事を思っていた。


だからこそ嬉しくて、


「いいよ!」


私がすぐに頷くと、大和君もパァッと明るい笑顔を見せた。


「良かった!じゃあ、とりあえず出ようか。」

「うん!」


そうと決まった私達は、駐車場を出てもう一度夜の街を走り出した。



走り出してから20分位で到着したのは、ある公園の駐車場。


他の車は見当たらなかった。



「俺、時々ボーッとしたい時にここに来るんだ。」


そう言ってエンジンを止めると、車内にはカーステレオから流れる音楽だけが響いていた。