海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

「あのさ…。」

「うんっ、なぁに?」


突然大和君が口を開き、私は慌てて聞き返した。



「…今日、車で来た?」

「ううん、今日は瑞穂の車で来たの。」

「じゃあ、帰り送らせて?」


願ってもない大和君の申し出に、


「お願いします。」


私はそう、笑顔で答えた。

彼がそんな風に言ってくれた事が、本当に嬉しかったんだ。



「はい。」


私の返事を聞いて、大和君はまっすぐ前を見たままニコニコ笑顔で大きく頷いた。



駐車場に着き、みんなぞろぞろと車から降りている。


私も一旦、大和君の車から降りると、瑞穂の元に向かった。


「さく、どうだった?楽しかった?」


私の姿を見るなり、すかさず質問攻めをしてくる瑞穂の隣には、最初に大和君の車に乗っていた女の子がいた。


二人がすっかり仲良くなった事は、すぐに分かった。



「うん、すごく楽しかったよ。どうもありがとうね、ごめんね。」


私は、最初に大和君の車に乗っていた子にお詫びとお礼をすると、


「全然いいんです!私も瑞穂さんと一緒で楽しかったし!」


“ねー!”と瑞穂と彼女は顔を見合わせて笑った。


そんな二人の様子を見て、車を交代しても楽しんでもらえたのだとホッとしていた。



「でね、瑞穂…。」

「うん?」


瑞穂は仲良くなったばかりの彼女から、私の方へ向き直った。



「今日ね、大和君が送ってくれるって言うからお願いしようと思うんだけど、いいかなぁ?」

「えっ、そうなの?もちろん全然大丈夫だよ!」


瑞穂は驚きながらも、笑顔で頷いている。



「良かった。ありがとう!」

「良かったね!頑張ってね!」


瑞穂の意味有りげな応援に、


「うん、頑張る。」


どう頑張ればいいのかよく分からないけれど、私はそう笑顔で答えた。