海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

「何の仕事をしているの?」

「事務のお仕事だよ。」

「へぇ。」


大和君はまっすぐ前を向いたまま頷いている。



「いつもは何をして遊んでいるの?」



『もしかしたら彼女がいるのかも…。』


そう思いながら訊ねてみると、大和君は


「んー…たまに友達と飲む位かな。あとはバイト。」


と、少しだけ悩んでから答えた。



私は“友達って女の子?”っていう言葉を飲み込んで、また違う質問をした。


「何のバイト?」

「車屋で働いてるんだ。」

「車、大好きなんだね。」


このメンバーで集まってからよく分かったのは、男の子達がとにかく車好きっていう事だ。


「うん、大好きだよ!」


横顔でも分かる程、大和君は嬉しそうな表情をしていた。


そんな彼の表情を見ているだけで、私もつられて笑顔になれた。



隆二さんが言っていた通り、大和君はとても明るくて、私が話す事で何度もケラケラと楽しそうに笑ってくれる。


私も何を話していても楽しくて、気付けばお互いに頬の筋肉に痛みを感じていた。


そんな彼の人柄のおかげで、私と彼の会話はいつまでも途切れる事がなかった。



ややしばらく3台でドライブをして、最初に待ち合わせていた施設の駐車場に戻る頃、時刻は深夜12時を回っていた。



駐車場に近付くにつれ、


『もう大和君ともお別れかぁ…。』


という気持ちでいっぱいだった。


もっと話したかったし、出来る事ならまた会いたいとも思った。


寂しさを感じていたせいか、車内では少しずつ会話が少なくなっていった。