海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

隆二さんとの会話はすぐに終り、彼は自分の車に戻ると女の子が1人で乗っている車の運転席に乗り込んだ。


助手席に座っている女の子が、とっても羨ましく感じた。



戻ってきた隆二さんが、


「お待たせしました!出発しよう!」


そう言いながらシートベルトをしている間に、私達の横に止めていた車の男の子が出発し、

その後に続いて私をときめかせた彼が走り出した。


私達の前を通る時に、こちらに向かって見せた彼の笑顔は、もう一度私をドキドキさせた。


その後すぐに隆二さんも出発し、3台並んで走り出した。


3台のテールランプが、着かず離れずの距離感で進んでいく。


既に何台の車を追い越したか分からなかった。




「どこに行くの?」


瑞穂がわくわくしながら聞くと、


「とりあえず海の方に行こうって話してたんだ。」


そう言って、隆二さんは更にスピードを上げた。



そのスピードは私が普段運転するスピードよりもはるかに速く、少しだけ怖かった。



気付けば、一番最初に走り出した男の子の車は私達よりもスピードが出ていて、かなり先に行っている。


「ジン、お前飛ばしすぎだろ!」


カズくんが携帯を使って先頭を走る男の子に話しかけた。


するとすぐに、


≪すみませーん!≫


カズくんが“ジン”と呼んだ男の子から返事が来た。

笑いながら答えているその様子だと、余裕綽々って感じがする。


謝りながらもジンくんが他の車をどんどん追い越していくのを見て、


「すごいね!っていうか、最初に出た子はジンくんっていうの?」


目をキラキラさせた瑞穂が、前の席にいる隆二さんとカズ君に問い掛けた。


「そう!先頭がジンで、俺達の前を走ってるのが柴田っていうんだ。」


「へぇ。」


そんな瑞穂と隆二さんの会話を聞きながら、



『あの人、柴田君っていうんだ…。』


と、私がときめいた彼の名前を心の中で反復していると、今度は柴田君から携帯に着信があった。