海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

「いや…無理にしない方がいい。うん。」


そう言って、青山先生は何度も何度も頷いていた。


先生なりに何かを納得したのか、


それとも、全く違う何かを考えていたのか。


その真意は私には分からなかったけれど、饒舌に、


「俺が高校の時なんて、友達同士で“やろう!やろう!”ってバンバンやってて…」


と、若かりし頃の自分の話を始めた。



青山先生の話を聞いている内に、


『先生みたいに出来ない私は悪いの?おかしいの?』


と、余りにも“それが当たり前”のように言う青山先生に、疑問を感じている自分がいた。




私には、そんなに簡単な事じゃない。


迷う事なく受け入れられるような、


心も体も結ばれる事を、心から幸せに思えるような特別な人が…


すごく特別な人がいたから―…





『相葉先生…』



相葉先生を思い浮かべてしまうこの気持ちが、全ての答えだっていう事。


やっぱり私は青山先生の事を好きじゃないんだって、


私が好きなのは相葉先生、ただ一人なんだって、


変える事が出来ない自分の気持ちを、もっと早くに認めていたら…



もっと、もっと早くに、そう思えていたなら…




もしかしたら、



私には違う未来が待っていたのかな―…